あと少しで解放される。
どうせあと一発。
浴室でという言葉が気に掛かったが、そのままシャワーを浴びてしまえる簡便さに思わず頷いてしまったのが、間違いだったのだと、この状況下でようやくグレッグは理解した。
声が微妙に反響して聞こえるのが、自身の声ながら不快だった。
それだけじゃない。鏡を前にして行うのも耐え難いほど羞恥心を煽られる。
ついでに、快楽も。
……違う!それは断じて違うッ!!
自分の思考を自分で否定して、一度湧き出した感想を振り払うように頭を振った。
「グレッグ、集中してよー」
「うるさ……あ……ッ!」
細長い指が内側の浅い部分をゆっくりと撫で回す。
線対称の指先が露になった胸の突起をも掠め、時折つまんでは弄ぶ。
「……ぅく……う……」
前戯のようで、まるで違う。
「場所が違うせいかな。なんだかさっきよりも感度イイみたい」
むき出しの背中をチャックの舌が舐める、その感覚にグレッグの体がひくり、と震えた。
さっき、とチャックが口にした通り、ついさっきまでそこの寝室で本番真っ最中だった。
前戯も必要ないほど、グレッグのそこは充分解れているし、じゃあ小休憩かというとグレッグの意向も無視して体を貪っていたのだから、つまりは。
「あそ……んで、んじゃねえ……ッ」
「えー?だって勿体ないじゃない?
これで今日はおしまいなんだから、さ。楽しまないと。
それにボクだって遊んでるんじゃないよ」
「……?」
緩やかに続く愛撫を無視するように、口を真一文字に結びながら振り返り、チャックを見る。
「一生懸命、挿れたいの我慢してるんだから」
「……ならさっさと、挿れればいいだろ……ッ」
やっぱり遊んでいるんじゃないか、と内心呟く。
ただ、そういうつもりで口にしただけなのに。
「……ッ!グレッグ……ッ!!」
「……はッ……」
熱い塊が押し当てられる。
ほんのわずか、先のカタチを粘膜で感じ取った。
グレッグは、そのまま引き寄せようとするチャックの手を押し留めながら、抗議する。
「待……ッ」
「待たないよ。
だってグレッグからおねだりしたんだから」
「違……アあッ」
やたらとゆっくりとした愛撫とは打って変わって、性急に腰を進められる。
背後から一気に押し入ってきた質量に、グレッグの体が仰け反る。その直後には、ギリギリまで引き抜かれて、また埋め込まれを激しく繰り返し出した。
「ひ……やめッ……抜いてく……」
後ろから追い立てるような動きで内部を穿つチャックに、掠れた声が懇願する。
チャックはグレッグの背中に覆いかぶさり、律動にあわせて言葉を放った。
「グレッグ、前を見て、よ」
「ア……」
「誰が、グレッグを犯してるか、わかるだろ……?
グレッグが、ボクに犯されてる姿、見てなよ……ッ!!」
チャックのモノがグレッグの内部で擦れる音と、チャックの手がグレッグ自身を擦る音が浴室の中で淫猥に響く。
粘膜を抉る動きは早まる中、前で屹立したモノを扱いてた手が、グレッグの頬に触れた。
ぬるり、とぬめる指先が顔に線を描いて、口の中に滑り込む。
二本の指で舌を絡めとり、チャックは囁く。
「グレッグの、上も、下も、ボクに犯されながら、イってよ」
「ンぅ、ンンンッ!!」
言葉と同時に前立腺を擦られ、膨張したグレッグのモノから白濁が飛び散り、タイルを濡らす。
それに次いで、チャックも締め付ける内部に向かって欲を打ち付けた。
「グレッグ、疲れてる?
ならしばらくそっちのベッドで休んでなよ。
ボクが片付けしとくからさ」
約束どおりに、確かに一回で終わらせたものの、それまでの蓄積のせいか動くのが億劫なことは確かだ。
だけれど。
忙しくパタパタと動くチャックを見ていると。
「…………歳、なのか……?」
そんなことは、ないはずだ。
気を取り直して、グレッグはどことは言わず痛む体を押してARMを取りに立ち上がる。
「寝てていいんだよ?」
「……………………不自然、だろ」
グレッグは。
身を案じる言葉を退けることに、良心を痛めた。
その実、チャックが『あーなんだまだ余裕あるんなら今度はもっと出来るかもー』と思っていることも知らないまま。
エロのくせにねちこくなくてすみません……
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