*ナイスにご都合主義設定です。
「生徒会長、本当に先に帰っちゃっていいんですか?」
「うん。あとはボクひとりで大丈夫だから。
みんな、気をつけて帰ってね」
生徒会長が、周囲を安心させるように笑って促すと、生徒会役員たちは、それじゃあ、と申し訳無さそうな顔をしつつも会長の言葉に甘えることにした。
「じゃあ、お先に失礼しますね」
「お疲れ様」
整った顔立ちに笑みを浮かべて、役員たちを見送る。
ルックスがいいのに、やや浮ついた言動こそみられるものの、飾らず、真面目で品行方正な生徒会長を、誰もが信頼していた。
それが裏表のない、事実なのだから。
廊下から彼らの姿が消え、校舎内に残る人影はもうほとんどない。
数人の教師と、それから警備員くらいだろう。
生徒会長である彼は、そのことを良く知っていた。そして、今現在残っているはずの人々が自分をどれほど信じているのかも。
そういった人々を裏切るような真似はしない。
打算なしに、そう思っている。
ただ、今から自分がしようとしていることが決して褒められたことではないのも、よく解っていた。誰かに知られれば、信頼など泡となって消える。
けれど止める気もない。
これはちょっとした悪戯心で。
限りなく本能的な行為なだけだ。
周囲に人影がないことを十分すぎるほどに確認したあと。
生徒会長は真っ白な靴が立てる音を後に、再び生徒会室へ戻った。
学園が大きいだけあって、生徒会室もそれに呼応するように広い。
入ってすぐの役員室で普段は仕事をし、部屋の奥、左手側にある扉は物置になっていて、歴代の生徒会が手がけた仕事に関する資料などが収められていた。
右手側の扉が会議用に使われるスペースだが、チャックの済ませなくてはならない用事は役員室でもなければ会議室でも、資料室でもない。
資料室奥の、会長用の部屋。
しかしわざわざ資料室を通って奥まで行って仕事をするのは面倒なので、普段はやはり他の生徒会役員たちと同じところで仕事をしている。
重要な印鑑や、生徒会以外の面々に知られたくない機密書類だけを置く部屋と化していた。
古い紙のにおいが充満する資料室を抜け、会長が管理する鍵で扉を開ける。
カーテンを閉め切った、誰もいないはずの部屋。
「ごめんね、待たせて」
カチっと壁際のスイッチを入れれば、暗かった部屋に明かりが点った。
学生帽と裾の長い学生服で、一目見て、一般の生徒と異なることが解る。
身体も厳つく、強面で、いかにも不良らしい格好をしていて他の生徒たちからは敬遠されてがちだ。ごくごく一部の生徒しか彼を相手にしない。
その、ごくごく一部の生徒が、生徒会長本人だった。
周りは会長が優しいから、面倒見がよすぎるからだと言うが、構われているほうは、とんでもない誤解だと、顔を顰めて洩らした。
生徒会長である、チャックの目の前で。
苦笑するしかない。そのとおりだ。
「なかなか皆帰ってくれなくってさあ。
優しいし、ありがたいとは思うんだけどね」
きゅ、っと床を擦る音を立てて近づけば、番長は身体を横たえたままで、ぴくりと反応した。
近づけば、彼が荒く息をついているのがわかる。
起き上がることさえ億劫そうに見えた。
「続き、しよっか」
机の上に横たわる彼にチャックは覆いかぶさり、耳元で息とともに吐き出した。
ねっとりと耳介を舐め、右手でグレッグの足を持ち上げ、その手で外気にさらけ出されたままの秘部に指を突き入れる。
「うあ……ッ」
なんの抵抗もなく、2本の指を飲み込んだソコを、遠慮なくぐちぐちと音をたてて弄くる。
「まだ、さっきの中で残ってるみたいだね。
これなら解さなくても平気そうだ」
「いあ、ああ……ッ」
ぐりっと最後に一回大きく円を描いてから指を引き抜く。抜かれたと同時にしっかりとした体つきの彼がふるり、と不釣合いに弱弱しく身を震わせた。
チャックは自身を取り出すと軽く擦って、半勃ち状態のまま、内部に埋め込む。
「あ、あ、くあぁッ!」
入り込む瞬間にチャックの腕をグレッグが両手で掴む。筋力も人並み以上にあるだろう腕とは思えないほど、力を感じない。縋りつくような弱さだ。
その様子に、堪えきれずチャックは笑みを浮かべる。
止めさせようとしているのではない。
その逆、せがんでいるのだ。
「口で言ってくれればもっとサービスするのに。
言ってくれないの?」
至近距離で問いかければ、薄っすらと開いた眼がチャックを捕らえた。
生理的なもので潤んだ瞳が見上げ、口は開いたままで、しかし何かを言おうとして、微かな動きが見える。
「んー、でも言わなくても判るからいいか」
途中で止められていたチャックのモノが、一気に限界まで突き入れられた。
「んぁあッ!!」
「コレが欲しいんでしょ?
見ればわかるよ。欲しくてたまらないって、すごいいやらしい顔してる」
「うあ、ああ……」
言いながら、チャックはゆっくりとグレッグの中から自身を引き抜いていく。
ぬるぬると内部を擦りながら出ていく感覚に打ち震えているグレッグを見下ろし、ぎりぎりまで出したところで再び中へ押し戻す。
「やめ……ッ」
「うん。止めてあげない。
もっともっとして欲しいんだろ……?」
「あッ、チャッ……ク……ッ!!」
行為のときに、名前を呼んでもらうのにどれだけの労力と時間をかけたのか、もう忘れた。
今、この状態が、それまで働き以上の価値になっているせいだ。
半勃ちだったチャック自身は、グレッグを穿っている間にみるみる完全に勃ち上がって、硬度を増していた。
絶え間なく、淫らな音が静かな学園の一室で響く。
お互いの終わりが近づいてることに気づいて、生徒会長は突然、先走りをとばしているグレッグの根元をぎゅっと押さえた。
「……イきたい?」
打ち付ける腰の動きは早さを増すばかりで、止まる様子は一向にない。
なのに解放を求めるソレをせき止められて、グレッグは言葉もなく、ただひたすらに頷くしかなかった。
「なら、明日もちゃんと学校にくるんだよ?
いいね?」
「わ、判った……ッ!!
だから、早……」
指を根元から放す。
そして、
「じゃあ、ご褒美ね」
指先で尿道付近を軽く引っ掻くと、即座に白い液が溢れ出す。
それを追うように、チャックもグレッグの中に白濁を流し入れた。
事後処理を終えて、帰路に着く。
並んで歩くことに、まだ周囲が違和感を覚えて見遣るが、チャックはもう、その視線も気にならない。
前までは離れて歩けなどと言われていたのに、グレッグが言わなくなったからだ。
それが、チャックのことを慮ってのことだとは薄々気づいていた。
けれどたまらなく寂しい。どうやったって縮まらない距離のようで、苛立ちもした。
でも今は。
置いていこうとはしないし。
明日も学校に来るって言ってくれたから。
歌でも歌いだしたいくらい、幸せだと思う。
「何で学校に来させたがるんだ、お前」
まだ警戒されていた頃。
そう訊かれたことがあった。
「好きなひとの顔を毎日見たいって思うのは当然だろ?」
本当は、四六時中見ていたいんだけど。
そこまで言えなかったときのことだ。
その時は、変な奴、と一言で片付けられたけれど、今同じことを言ったらどう反応するだろう。
想像するとあんまりに面白くて、とんとん、と彼の肩を叩いて、振り向いたと同時に口にしてみた。
このあと、@殴られるA蹴られるB同じ言葉で切り捨てられる
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