またまた、たまたま通りがかってならついでに泊まっていくか、なんて自然な流れで辿りついたクレイボーンにて。
厩舎であいかわらずの何考えてるのか理解しがたい青年と、万年大抵仏頂面の少年が会話していた。
「僕はふられちゃったけどさ、やっぱり恋って素晴らしいものだと思うんだよね」
返事すらないが、全く頓着せずにパイクは馬にブラッシングしながら、続ける。
「だから君が恋をしたなら僕に教えてよ、力になるから」
「いらねえ」
それには間髪いれず突っ込みを入れたが、そんなことで諦めるような神経の細やかさは、残念ながら相手にはない。
「もしかしてもう相手いたりするのかな。
例えばヴァージニアさんとか」
「なんでだよ」
「花園の女の子とか」
「なんで知ってんだよ」
「はたまたシュレディンガー一家の……」
「あんな常識外れの女はゴメンだ」
「……実は青田買いの」
「そんな趣味はねえ。
大体、何で女ばっかなんだ」
「ん?
じゃあ男が」
「好きなわけあるかッ」
結局、こうやってずるずる恋人できないねとか話してればいいと思う
back←
reset