一夜明けて、翌日の朝。
 睡眠時間は短くとも朝を清清しく迎えられた。
 変な筋肉の使い方とかしたせいかちょっとだるいけれど、気分はこれ以上ないくらい晴れ渡っている。
 あのグレッグに!
 ついにボクのを突っ込むことが出来たのだから!
 訂正。
 グレッグと気持ちを確かめあったのだから!
 もう全てが輝いてみえるよ!
 チャックきもちわるいです、なんてアヴリルの冷ややかな言葉だって祝福の歌に聴こえるくらいだ。


 グレッグはちょっとぎこちない歩き方をしててそれもボクのせいかと思うと喜びもひとしおってものだった。
 だった。
 そう、アレを見るまでは、本当に嬉しかったのに。



「眠たそうだな、ディーン」
「んー。メシ食ったし、今日天気いいしなー……」
 陽気に当てられて、ディーンがうつらうつらと舟を漕いでいる。
 キャロルも疲れが溜まっていたのだろう。今は小さな寝息を立てて眠りについている。レベッカもアヴリルも相当眠たそうだ。
「ちょっと……昼寝してもいいかなー……?」
「わたくしも……」
「ああ、寝てろ。ディーン、お前もだ」
「うん……ごめんグレッグ」
 了解を得るとすぐにレベッカとアヴリルが眠りにつく。
 ディーンはまだうとうとしているが、なにかを探して眠りにつけないでいるようだ。
 しばらく重そうな目蓋と格闘しながら周囲を見渡していたけれど、やがて諦めたようにグレッグの足元に目を落とす。
「……グレッグ、ひざ借りていい……?」
「こんなでよければな」
 ちょっと待ってと止める隙もなく、グレッグは地面に足を伸ばして程よい高さにしてやる。その上にためらわず、ディーンが頭を乗せた。
「おやすみー……」
 ほどなく、ディーンも寝息を立て始める。
 あんまりの光景に開いた口がふさがらない。
「……なん……ッ!?」
「大声を出すな。起きるだろう」
 言われて、口を噤む。
 けど言いたいことはあるから、トーンを抑えて、グレッグに抗議した。
「膝枕なんてずるいよッ」
 ひざまくら、とグレッグが呆れたように言って、ボクを見遣る。
「ボクも」
「生憎埋まってるから無理だ。第一、お前にするつもりはない」
「何で!?」
「膝枕で済みそうにない」
 ああそうですか。そういうこと言いますか。
「……判ったよ」
 やっぱりグレッグはてんで解っちゃいないのだ。
 それか、ボクの物にしたいって、言葉を忘れているか、だ。
 
 きっちり覚え込ませないとねえ……?
 皆がすやすや眠っている間中、今晩はどうしようかなあと、まるで今夜のおかずについて考える主婦のようなことを思っていた。
 中身は全然違うけれど。





※寝てるみんなは、
昨夜に寝不足になるようなことがあったせいで寝てるわけではありません


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