4 不健康な一日(前半)




 ちゅぷん、とボクの指が音を立ててグレッグの中を探る。
 グレッグの様子を窺えば、ぎゅっと目も、口も閉じて、されてることを必死でやりすごそうとしていた。
 指のピストン運動を止めることないまま、グレッグに問いかけた。
「我慢しなくてもいいのに。
 誰もいないんだからさ」
 ぐにぐにと内側を強めに擦れば、びくり、と身体が跳ねる。
「それとも、気持ち悪い……?」
 大きく開かれた足の間で主張しているグレッグ自身に指先で軽く触れた。
 そんなわずかな刺激にすらソコは素直に反応を返してくれる。持ち主とは大違いだ。
 先端の窪みにそっと指先を当て、すぐに放す。にちゃ、と小さく音を鳴らしながら指先に白い粘液が付着して糸を引いた。
 液体が重力にしたがって中心から零れ落ち、ボクの指を飲み込み赤く熟れた色をした後ろまでたどり着く。
 内部がうねうね動いているのが、埋め込んだ指に直に伝わってくる。
 この内側の心地よさを知っているせいで、蠕動している動きを求めてボクのアレが熱を持ち始める。
 様子をみれば一目瞭然だけれど、あえてボクはグレッグに、ことさらゆっくりと訊ねた。
「……ねえ、気持ちいいの?気持ち悪いの?どっちなんだい」
「…………ッア……ッ」
 勃ち上がったソレを軽く擦ると、抑え切れなかった声が熱い吐息とともに洩れ出た。
 けれど何かを言うこともなく、ただ一度だけ、頭を振った。
 嫌だと言うみたいに。
 ちっとも素直にならないグレッグに、強情だなあ、と一言呟いてからいかにも仕方無さそうにボクは言った。
「良くないんだね。
 なら良くしてあげる」
 吸い付いてくる肉壁から指を抜き去り、代わりの物を熱く解れたソコに押し当てた。
「……うッ……く、ン……!!」
 行為そのものすら拒むような声をだすくせに、括れまでねじ込んでしまえばあとはあっさりと奥まで簡単に入ってしまう。
「……すっご……い、ぬるぬるしてる……ッ」
 まあ、ローションを塗り込んだせいなんだけど。おかげで前よりもずっと入りやすかったし、動きやすい。
 ゆっくりと抜き挿しを開始する。
 今日はなにせ、時間がたっぷりある。だからめいっぱい楽しませてもらおう。
「……グレッグ、グレッグ……ッ」
 ボクとグレッグのお腹の間で揺れてるアレに手を添え、ゆるゆると扱く。まだイかせるつもりはなくて、徐々に高めていく感じ。
「これでも、気持ちよくない……?」
「……ッ……」
 真下から睨まれたけれど、全然凄みがない。頬は赤みが差して、気持ちいいのを我慢している顔だったから。
 内股をゆっくり撫であげながら、もう少し足を広げようと付け根の内側を押し、同時に腰も進める。
 喉の奥で鳴るような、かすかな嬌声を耳にした。



「じゃあ行ってくる!」
「おみやげ、かってきますね」
「……別にいらないんじゃないかな」
「買う物があったらついでに買ってきますけど……」
 普段なら一泊して翌日は出発、の場合が多いんだけど今回はちょっと羽をのばしてみようということで、一日フリーになった。
 レベッカたっての希望だ。
 ちょっとおっきな街だし、女の子らしく買い物してみたいのだとか。
 アヴリル・キャロルはそれに同意。ディーンも、昨日見て回った中で行きたいところがあるみたいで、同じく外出組。
 ボクは。
「特にお願いするものはないかな。
 グレッグは?」
「俺もないな。……それより」
「大丈夫だって。平気、平気!」
 まかせて、とばかりにディーンが自分の胸を叩いて見せるが、それでもグレッグの顔から不安そうな色は消えない。
 余程子供たちだけで遊ばせるのが心配なようだ。
 ……ボクとしては何気にハーレム状態なのが気になるところだけど……無意識なんだろうなあ。
「大丈夫よ。ちゃんと遅くなる前に帰ってくるから!」
 心配しないで、と笑いかけるレベッカを見て、ようやく『お父さん』は子供たちを送り出す決心をしたようで、頼む、と短く彼女に告げた。
 正しい選択なんだけど、それでいいのかなと思わなくもない。
 手を振って駆け出していくディーンたちを見送ったあと、ボクらは中に引き返す。
 というわけで今回はボクとグレッグだけ別行動だったりする。
 外出組みと荷物番をする留守番組みってことで、ボクらは後者だ。
 朝食を食べて意気揚々と出かけて行った彼らが戻るのは陽が沈んでからだろう。
 つまりそれまでの間は自由に使っていいことになる。
「出掛けもせずに居残りに志願したのはそういうことか……」
 呆れたような声音が耳に響く。その他愛も無い言葉にさえぞくぞくしてくる。
 ボクに組み敷かれて低く唸るグレッグの喉の上に舌を這わせた。
「キミだって反対しなかったじゃない。
 少しくらいは期待してた?」
 さっき整えたばかりの衣服を乱していく。
 荷物置いて遊びに行ったら?と提案したのはボクで。
 さらに、グレッグも出掛けたりしないってさ、と言い出したのもボクだ。
 彼が付いて行くなんていう前に先制攻撃。そうでもしないとまたグレッグをディーンに持っていかれそうだし。
 前をはだけさせ、胸に直接触れる。手をすべらせるように肌に触れながら服を脱がす。
 舌は首筋を下り、鎖骨まで行く。舐めながら、この肌に印をつけたいな、と思う。
「……跡は付けるな」
 先に言われてしまった。
「ダメ?」
 見えないところなら、と頼んでみるが、鋭い視線が飛んでくるだけで色好い返事はもらえそうにも無い。
 仕方ないので許可をとることは諦めた。
 まあいいや。
 ばれなきゃいいんだし。
 そして行為を再開する。
 ローションのボトルはサイドテーブルに置いてあるし、あとはこの欲求を満たすだけ。
 この間のコトを思い出すだけで、どうしようも無いほど、飢えてくる。
 足りない、足りない、とボクの中から叫びだして止まらない。
 触れれば触れるほど欲しくなる。
「……グレッグ」
 囁けばぴくりと体を震わせる彼が、ボクと同じくらい欲してくれればいいのに。
 そう思いながら、ボクは彼を追い詰める。
 追い、求める。





さすが、ハンター


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